もしかして俺は──────────。


…な訳ねぇよな。


俺が助けに行ったのはくだらない理由でも何でもねー。


ただ…手伝ってもらったから貸しを作りたくなかっただけ。




───────そうだよな?










───────………





『湊叶、また注文だ。すごいけど、これじゃ手ぇ回んねーぞ…』



『んな事言ったってどーしようもねぇだろ。これだけしか人数いねーんだから』



『そうだけど…。どうしたら────あ、心音だ。心音呼べ湊叶!手が空いてたら手伝ってもらうんだよ』



『は?ここに呼ぶのか?』



『じゃー他に案はあるのかよ?』



『…分かったよ』



こうして俺はあいつをここに呼んだ。













『あ、あの…お待たせしました』



早速来たあいつに伊織が寄っていき、手が回ってない所を重点的にお願いする。


こいつが来たからって大幅に何かが変わるはずがねぇ。


そりゃ、人が多ければ多いほど楽に越したことはねぇけど…。


こいつ、どうみてもやれそーにねぇし。


頼むから足だけは引っ張んなよ。







───────けど、


俺のそんな考えは数十分で覆(くつがえ)された。



『『『…す、すげー…!!!!』』』



そんな感嘆の声をたくさん集めたのは、他の誰でもねぇ──────あいつ。