黙って俺のモノになれ【上】



「桐沢くん…っ!あの、ありがとうございました!」



教室に入ろうとする彼に構わず、あたしは大きな声でそう言うときっと桐沢くんは今までに見たことがないであろう、とびっきりの笑顔を向けて受付に戻った。


それからすぐにお客さんが来たからあたしは、桐沢くんがその後少しだけ放心状態になっていた事を知る由もなかった。















☆*☆*☆*☆*☆















「心音、おつかれ。交代するよ!」



「人が多かったみたいだね…。お疲れ、心音ちゃん」



「後は俺らでやるから」



2時間の当番が終わり、次の人にバトンタッチ。


次の時間には玲弥、慧、春樹がいるんだよね。



「じゃー、皆行ってくる!」



「行ってらっしゃい。人多いから気をつけてね」



「うん、ありがとう。それから春樹、これ…」



そう言って春樹に受付用の小さなマイクを渡す。



「あぁ、ありがとう。楽しんでこいよ」



「うん…!」













あれから、なんの問題もなく終わった受付。


あんなことがあった後でもあたしが受付を続けられたのは



────桐沢くんのおかげ、なのかなぁ…?



何でもあれ以降は頻繁に教室と家庭科室を行き来してたみたいで、よく見かけたから…。


知らぬ間に安心してたのかも…。



「あなたが桜河で唯一の女の子?!」



玲弥たちと別れ、朝霧くんのクラスへ行こうとしたあたしの目の前には、いつの間にか元気で明るい可愛らしい女の子がいた。