皆が帰った後の教室を見回し、あたしも教室を出る。
上にかかっている
〖イケメンカフェ~1年AB組男女が作る最高の居場所~〗
と書かれた看板と、下に立てかけている
〖メニュー〗
と書かれたホワイトボード。
内装はシンプルかつおしゃれにクラスの男の子たちが飾り付けをしている。
ここでこうして見ていると、いよいよ明日なんだと嫌でも思い知らされる。
あたしの心は頑張って皆で築いてきたものがいよいよ明日公開できるというワクワクと、
明日は一体どんな1日になるのだろうという不安やドキドキで渦巻いていた。
外が薄暗くなってきたこともあり、教室たちに背を向けた時。
「何お前。まだ居たのかよ」
桐沢くんの声がした。
「皆が作った場所をちゃんと目に焼き付けておこうと思って…」
「へぇ」
「桐沢くんは何の担当だったんですか…?」
そう、お忘れの方もいるかもしれませんが桐沢くんも普通科だから同じ出し物なんです…。
「買い出し。…行ってねーけど」
「そうなんですね…」
行ってない、なんて桐沢くんらしいと言えばらいしけど…。
買い出しに割り当てられてる人数は少なかったし、残りの人が大変だっただろうな…。
「…それで、あの今から何かあるんですか?」
「別に。俺は用があって来ただけ」
桐沢くんはどんな会話をしてもやっぱり冷たいけど…。
会話が出来るようになっただけましなのかな…?