愛実の気持ちになんて気づくはずもなかったし、正直驚いた。
─────────けど。
『…わりぃ、愛実。俺はお前の気持ちには…』
『いや…っ!聞きたくない……っ。────お願い、好きって言ってよ…。行かないで…』
そう言って愛実は優しく、だけどしっかりと俺を抱きしめた。
疑ってた訳じゃねぇけど、そうされたことで愛実の気持ちは痛いほど伝わってきた。
俺の胸板に顔を押しつけ、泣きじゃくる愛実。
確かに、俺がまともに会話をした女は愛実だけだし。
こーやって俺が名前で呼ぶ女も愛実だけ。
それでも。
『愛実…ごめん。やっぱり俺はお前の気持ちには応えられない』
好きってのはそれだけじゃねぇと思うから。
俺が唯一話す女だからこそ、いい加減な返事はできない。
『───────でも。気持ちは嬉しかった。だから…ありがとな』
期待をさせないように
できるだけ傷つけないように
俺は自分の気持ちをはっきり告げた。
『湊叶くん…、ううん。聞いてくれてありがとう…。寂しいけどね、私湊叶くんのその笑顔見れただけで充分。湊叶くんってそんな顔もするんだね。幼馴染なのに…知らなかった』
『…は?顔?どんな顔だよ』
『え?あはっ。教えてあげなーい!』
『何だよ、それ』
『えへへ。あーあ、湊叶くんの彼女になりたかったなぁ』
そう言う愛実の表情は何だか少し吹っ切れているような気がした。
『んな事言うなよ。こっちが敢えて触れねぇよーにしてんのに』
『あー!一応気にしてたんだ(笑)湊叶くん優しいとこあるんだねー!』
『……ちょっとでも気にした俺が馬鹿だった』
『えーなにそれー!!ひどくない!?』
『別に』



