「いけよ」
「だから…だりーんだよ。俺は女に興味なんてねぇ。やるなら勝手にやれ」
必死な俺たちの声はだんだんヒートアップして行き、誰もいない廊下に響き渡る。
こんな時でも俺は。
こんなに地声ひびかせていいのかよ、こいつ。
そんな事ばかり考えてた。
だって…優空になんと言われようと俺は女を送るつもりはねぇから。
「そーゆー訳にもいかねぇだろ?決まったからには責任持てよ!」
爆発した怒りを叫びつづけていた優空がそこまで言うと急に雰囲気をがらっと変えた。
なんなんだよ、こいつ。
だけどそんな問も優空の次の言葉と視線で納得した。
「……っ。あ、心音ちゃん!今日、湊叶だよね…。ごめんね?」
優空の視線の先には女。
………だから、俺はずっと気にしてたってのに。
これじゃ、ずっと女に隠してきたこの性格がバレててもしょーがねぇな。
「全然、大丈夫ですよ…」
微かに、女がそういったような気がした。
つか………。
まだ優空は俺に送らせるつもりなのかよ。
「だから、俺はやらねぇって………」
このままここにいても拉致があかねぇ。
そう思い、優空の横を通り過ぎようとした時。
「────────────。いいんだな、みんなにバラしても」
誰にも聞こえない小さな声で、優空しか知らない俺の弱みをつかれた。
こーゆーとこで使ってくんだよな、こいつは…。
────だから、腹黒いって言われんだよ。
優空のこーゆーとこ、苦手だ…。
「………わーったよ、やりゃいんだろ。ったくめんどくせぇな………」
言うが早いが俺は回れ右をして振り返ると、呆然としている女の腕を掴み半ば強引に連れ出した。
「え…き、桐沢くん……………?」
「うるせー。黙れ」
やるしかねぇだろ…。
あんな事言われちゃー。



