唖然としたあたしは教室を少し出たところで固まってしまい…。
そんなあたしに優空くんが気がついた。
「……っ。あ、心音ちゃん!今日、湊叶だよね…。ごめんね?」
「全然、大丈夫ですよ………」
少し目が合って間があったけど…優空くんは優空くんだよね…?
さっきのは違う人だよね…?
「だから、俺はやらねぇって………」
そんなあたしに構わず、なおもそう言い続けようとした桐沢くんだけど…
1歩足を踏み出して優空くんに近づいて通り過ぎようとした時。
「………わーったよ、やりゃいんだろ。ったくめんどくせぇな………」
何の心境の変化でしょうか…。
どうやら送ってくれることになったみたいです…。
なんでまた急に……と不思議に思っていた次の瞬間。
─────ガシ
いきなり桐沢くんに腕をがっちり捕まれ、すごい勢いで下駄箱へ足を進め始めた。
「え…き、桐沢くん……………?」
「うるせー。黙れ」
そう言われ、腕を引っ張られながらもあたしは黙るしかなかった。
「はぁ……っ、はぁ…っ……」
引っ張られる中、寮に行く道と門へ向かう道の分かれ道にたどり着いた。
普段なら引っ張られるがままだったかもしれませんが…………。
今日はそういうわけにはいかないんです。
あたしは勇気を振り絞って。
「あ、あの……今日、バイトなんです…」
桐沢くんにそう声をかけた。
無視されるかな…と思っていると意外にも返事は返ってきた。
「お前、バイトなんかやってんのかよ。めんどくせぇ…」
ただし、いい言葉とは言えませんけど…。



