黙って俺のモノになれ【上】


唖然としたあたしは教室を少し出たところで固まってしまい…。


そんなあたしに優空くんが気がついた。



「……っ。あ、心音ちゃん!今日、湊叶だよね…。ごめんね?」



「全然、大丈夫ですよ………」



少し目が合って間があったけど…優空くんは優空くんだよね…?


さっきのは違う人だよね…?



「だから、俺はやらねぇって………」



そんなあたしに構わず、なおもそう言い続けようとした桐沢くんだけど…


1歩足を踏み出して優空くんに近づいて通り過ぎようとした時。



「………わーったよ、やりゃいんだろ。ったくめんどくせぇな………」



何の心境の変化でしょうか…。


どうやら送ってくれることになったみたいです…。


なんでまた急に……と不思議に思っていた次の瞬間。



─────ガシ



いきなり桐沢くんに腕をがっちり捕まれ、すごい勢いで下駄箱へ足を進め始めた。



「え…き、桐沢くん……………?」



「うるせー。黙れ」



そう言われ、腕を引っ張られながらもあたしは黙るしかなかった。










「はぁ……っ、はぁ…っ……」



引っ張られる中、寮に行く道と門へ向かう道の分かれ道にたどり着いた。


普段なら引っ張られるがままだったかもしれませんが…………。


今日はそういうわけにはいかないんです。


あたしは勇気を振り絞って。



「あ、あの……今日、バイトなんです…」



桐沢くんにそう声をかけた。


無視されるかな…と思っていると意外にも返事は返ってきた。



「お前、バイトなんかやってんのかよ。めんどくせぇ…」



ただし、いい言葉とは言えませんけど…。