黙って俺のモノになれ【上】


前からそう呼ばれてたんだっけ…?


何か分かんなくなっちゃった。


ま、呼び方なんてなんでもいいか…!



「成田先輩…。お久しぶりですね…」



「久しぶり。ってかごめん、俺今心音ちゃんって言った?」



あ、やっぱり呼び方違ったんだ…。



「あ、はい…。でもさっきので大丈夫ですよ」



「本当にごめん!でもそう言うなら…遠慮なく呼ばさせてもらうよ」



「……はい」



「引き止めちゃってごめん。キミ達もごめんね」



玲弥くんたちにもそう謝る成田先輩は、やっぱり優しくて…。


あー、いい人だなって改めて思った。



「全然時間あるんで大丈夫ですよ」



「歩結先輩…ですよね?俺、密かに憧れてたんです!」



成田先輩に返事を返す玲弥くんと、目をキラキラさせて成田先輩に言う慧くん。



「俺は歩結、だけどそんなに憧れられる人じゃないよ」



少し苦笑いで慧くんと話す成田先輩。



「そんな事ないです!俺、溝口慧っていいます。よろしくお願いします!」



「慧くん、ね。俺はって…言わなくてもわかるか(笑)そっちの彼は?」



「俺は中込玲弥です。お話出来て光栄です」



「玲弥くんと慧くん。おっけー、覚えとく。じゃ俺そろそろ行くね!心音ちゃんもまた」



あたしたちに背を向け自分の教室に帰っていく先輩。


その背中に



「はい、また…!」



あたしは先輩に届くできるだけ大きな声で、そう言った。