【心音side】
「ふぁぁ~………」
大変…、すっごく寝不足です………。
昨日、あれから翔斗先輩や優空くんの事考えてたら全く眠れませんでした……。
でも、もう時間だ…。
今日は………………桐沢くん。
今までもなんとかなってきた…!
大丈夫だよね………?
そして約束の時間。
──────────来ない。
もしかして…西宮先輩みたいに……
そう思って扉を開けてみるけど、無人。
だけど、いつまでも待ってたら遅刻しちゃう。
少し不安だったけど、あたしは1人で学校に向かうことにした。
辺りをキョロキョロ見回しながら、教室までの道のりを歩く。
1人って…こんなに怖いんだ…。
今までは1人でここを通ることがなかったから…。
でも、そんな事言ってられない、よね…。
あたしも強くならなきゃ………!
☆*☆*☆*☆*☆
「心音ちゃん!?今日は1人できたの?」
「うん…………」
「え、誰?今日の担当」
「………桐沢くん」
あたしが桐沢くんの名前を口にすると、2人は苦虫を噛み潰したような顔をした。
「そっか…」
「湊叶は…たぶんこないよ、心音。あいつ、女嫌いなんだ」
「そう、なんだ………」
1人で登下校は辛いけど、そういう理由なら納得せざるをえない…。
だって、要するにあたしと同じって事でしょ…?
理由はどうあれ、異性嫌いの人がどれだけ異性と関わりたくないか痛いほど分かるから…。
「それなら、しょうがないよね…!あたし、大丈夫だよ。玲弥くんたちいるもん…!」
「心音…。強くなったな、お前!!」
「そうだね。何かあったら俺ら助けるし、問題ないね」
「うん!」