黙って俺のモノになれ【上】



そう言われて、俺は戸惑った。


今、あんなキスしたら絶対歯止めきかない。


でも、まだ俺ら付き合って1ヶ月だよ?


いくらなんでも早すぎんだろ…。


でも、真莉愛ちゃんが不安がってる。


しょうがない、必死に理性を抑えるんだ。


そう決め、俺は真莉愛ちゃんに深く、深く口付けをした。



『んっ………ひ、ろと…くん……』



『……っ、真莉愛…』



それに応えるように真莉愛ちゃんは俺の首に手を回す。


理性の限界なんてとっくに超えていた。


だけど、真莉愛ちゃんは大事な彼女。


簡単に手を出していい相手じゃない。


必死にそう思って、俺は耐えた。


そして5分ほど経った頃、俺は真莉愛ちゃんから唇を離した。



『これで……分かってくれた……?』



『………………………』



だけど、真莉愛ちゃんは何も答えない。


え、俺間違ってた?


やりすぎた?


そんなことを考えて、ひやひやした。


だけど、返ってきた答えはそんなもんじゃなくて…。



『なんで!?何でいつもここでやめんの?いっつもいっつもキス止まり!翔斗くんはかっこいいし、明るいし、もっとはっちゃけてると思ってた!』



わけがわからなかった。


何で彼女がこんなに怒ってるのか、とか。


彼女が言ってる言葉の意味、とか。



『真莉愛…ちゃん…………?』



『…翔斗くんは、顔もいいし、モテるし、初めての相手には丁度いいと思ったの!いいでしょ、私の初めての相手は翔斗くんなんだよ、って…言いたかったのに!』



そこまで聞いて、あーそうだったんだって。


真莉愛ちゃんは俺のことなんて好きじゃなかったんだって。


俺は利用されてた事に気づいた。



『本当つまんない!もっとはっちゃけてるかと思った!なのに蓋開けてみたら、臆病だし、いくじなしだし、最悪!もっといい人と付き合えばよかった!出てってよ…。出てって!』



その言葉に、俺は真莉愛ちゃんに背を向け部屋を出た。



『…………俺は、真莉愛ちゃんの事が。本当に、大好きだったよ。……じゃぁね』



そんな言葉を残して。