そう伝えると先生は救護かばんを持って、保健室を出ていった。
もう、大丈夫だよね…。
優空くん…やっぱり体調悪かったんだ…。
何はともあれ、大事にならなくてよかったです…。
数分後、軽く処置を受けた優空くんと朝霧くんたちが先生とともに保健室にやってきた。
優空くんをベッドに寝かせ、ひとまず一安心。
入ってきた時も足ふらふらだったし、だいぶ無理してたんだろうな…。
「心音ちゃん」
そんな事を考えていると、弱々しい声で優空くんがあたしの名前を呼んだ。
「……はい…」
「僕の、体調が悪いって…どうして分かったの?………ちゃんと、隠せてるって…思ってたんだけど………」
「それは…いつもと様子が違ったから…」
「それだけ…?ははっ。すごいね…心音ちゃんは…。でも、ありがとう。心音ちゃんのおかげで…倒れなくてすんだ」
優空くん…喋るのもきつそう……。
無理して話さなくていいのに…。
それでもなお、優空くんは喋る事をやめない。
「………それに、翔斗さんの…“顔”、久しぶりに見れたから、よかっ……た………」
それだけ言って、優空くんは眠りについた。
「何言ってんだ?優空のヤツ。翔斗さんの顔なんて毎日ってほど見てんだろ…。熱のせいで頭おかしくなったか?」
なんて朝霧くんは言ってるけど…。
あたしはそういう意味じゃないんじゃないのかなって。
根拠や確証なんてないけど、そう思う…。
それに対して翔斗先輩は……
──────1言も会話をかわさなかった。
優空くんの言葉に一つだけ、思い当たること。
それは……
優空くんが倒れかけた時の翔斗先輩の顔や、声、話し方。
明らかにいつもとは違ってた。
だけど、変わりがないならないんだろう。
それくらい少しの変化だと思う。
性格上あたしはそういう事には敏感だから…。



