黙って俺のモノになれ【上】


あー、俺泣いてんだ。


今まで母さんのことで涙流した事なんてなかったのにな。


なんで今更……。



「奏夢……ずっと我慢させてごめんな。辛かったよな」



その言葉は、朝霧コーポレーションの社長でも、皆から慕われている貴之様でもなく…


1人の父親としての言葉で……。


俺はがらにもなく、声を上げて泣いた。






それでやっと


あぁ、俺ずっと我慢してたんだなって気づいた。




どんな事があっても



『奏夢くんちってお母さんいないんでしょー?』



『そうだけど、何だよ!俺1人でも生きていけるし!』



笑って、冗談を言ってやり過ごしてきた。


それが俺のすべき事だと思ってたから。







母さんの記憶は曖昧だけど…


すげぇ優しくて、父さんにはもったいないんじゃねぇかってくらいな人だったなっていうイメージは今でも残ってる。


本当あの人ほどいい女はいねぇんじゃねぇかって。


母親だから、とかそういうのを除けても。



それなのに………


母さん以外のやつらなんて


皆くそみたいなやつばっかだ。




『奏夢くん…かな?私お父さんの友達なんだけど、お父さんに会わせてくれない?』





『私、あなたのお父さんの会社の社員なんですが至急用事があって。お家に案内していただけませんか?』







よってくる大人の女はみんな父さんの金目当てだった。


もちろん、皆父さんの知り合いなはずもなく。


俺は何度も何度も騙された。


そして学習したんだ。


俺らによってくるのは金目当ての女ばっかりだってな。


それから、俺は女なんて信用しちゃいねぇ。


俺によってくる女だって、金目当てに決まってんだ。


欲にまみれたきたねぇやつばっかだ。


どんなに純情そうに見えても結局は金、金、金。


本当にくだらねぇ。