「お前はこっち歩いとけ」
一応、心音を車道側から移動させて、な。
「おい。早くしろよ、のろま」
「は、はい…」
こいつのバイト先、結構遠いんだな。
そう思っていた時
「ここです…」
どうやら目的地にたどり着いたらしい。
看板に書かれてる文字は“喫茶SKY”。
へぇ、喫茶店か。
雰囲気良さそうな店だな。
「お前喫茶店で働いてんのか。ま、気が向いたら来てやるよ」
「はい…。本当にありがとうございました…。気をつけて帰ってください…」
女にこんな事言われるなんてなめられたもんだな。
「んなの、お前に言われなくても大丈夫だっつーの。じゃーなバカ女」
こうして俺は喫茶店を後にした。
後ろからずっと見られてたなんて知らずに。
☆*☆*☆*☆*☆
「……近く来たし寄ってみっか」
俺は寮へ歩いていた道を引き返し、ある場所へ向かった。
────ガチャ
「こんにちは」
「奏夢様。お久しぶりでございます」
「久しぶり、藤堂。父さん……いえ、社長はいらっしゃいますか?」
「貴之(タカユキ)様ですね。少々お待ちください」
そう言って内部と連絡をとる藤堂。
そう、俺は久しぶりに我が家へと帰ってきた。
藤堂 航(トウドウ ワタル)は俺んちの執事。
そして朝霧貴之……父さんは朝霧コーポレーションの社長。
俺はその跡を継ぐってわけだ。



