「で、でも…ここから少し距離ありますよ…?本当にいいんですか…?」
ったく。
こいつも疑り深いやつだな。
俺がいいっていったんだから素直に聞いてろよ、このバカが。
「いいって言ってんだろ、しつけーな」
「……はい」
やっと折れたか。
最初から素直に聞いてろっての。
「あ、あの…ありがとうございます…!」
礼言われんのも悪くねぇな。
「一生俺に感謝するんだな」
☆*☆*☆*☆*☆
心音をバイト先まで送るのはいいんだが…
さっきから横を通る車がこいつギリギリを通るから危なっかしいったらありゃしねぇ。
そんな矢先─────
やけにエンジン音大きいな、
そう思い少し後ろを向くと明らかに歩道よりを走ってる大型の車。
これほっといたら絶対こいつとぶつかる。
ちょっと手荒だけど…………
許せよ、バカ女。
────グイ
「きゃ……っ」
案の定バランスを崩した心音は俺に倒れかかってきた。
それを受け止めると同時にすぐ横を通り過ぎた危ねぇ車。
「ったく。あぶねーな」
「す、すみません…」
……何でこいつ謝ってんだ。
あーもしかしてさっきのあぶねーってのを、自分に言ったと思ってんのか。
「ちげーから。あぶねーっつったのはあの車。別にお前のことじゃねーよ」
ま、お前も充分危なかったんだけど。
っと、そろそろ大丈夫だろ。
抱きとめていた心音の身体を離し、俺は足を進めた。



