黙って俺のモノになれ【上】



ま、俺には縁のない言葉だな。







☆*☆*☆*☆*☆






目の前には広がる空。

鼻をかすめる優しい風。

深く吸うと感じる秋の匂い。


やっぱここが1番落ち着くな。


お昼終わりの5時間目。


俺はお決まりの場所に寝転がっている。


トータルすると教室よりここにいる確率の方が多い気がするってくらい屋上常連の俺。


授業なんて聞かなくても分かるし、当たり前の事を言ってる授業なんて受けんのは退屈だ。


先生も親も何も言わねぇし、俺もここに通うのをやめるつもりはねぇ。


ここほどリラックス出来るとこなんざ、どこにもねぇからな。


結局……どいつもこいつも金さえあればいいんだ。









こうして5.6時間目を屋上で過ごした俺はSHRが始まるタイミングで教室に戻った。



「奏夢。転校生がお前に届けものだって持ってきた。渡しとく」



そう言って俺に小包を渡してきたのはクラスメートの新川響月(アラカワ ヒビキ)。


クラスで1番仲がいいっつーか、一緒にいるのが1番楽。



「おーさんきゅー。響月」



この中身はきっと…あれだな。


透瑠に頼んどいたやつ。



「なんなんだよ、それ」



「あー…これか?あれだよ、難関大学の小型パンフ」



「は、お前難関大学受けんのか」



「あぁ。そのつもりだけど?」



「…ま、お前なら楽勝か」



響月は冷静クールで一見冷めたヤツに見えるが、すっげぇいいやつだ。


無駄がないと言うか、余計な事言ったりやったりしねぇから付き合いやすい。



「楽勝なわけねぇだろーが。響月のが行けんじゃねーの?」



「いや、俺には無理だな」



無理じゃねぇくせに。


お前が頭いい事くらい知ってんだよ。


まぁでも否定するってことは響月は難関大学考えてねぇんだな。



「それより、さっきもどうせ“あそこ”行ってたんだろ?毎日毎日飽きないもんだな。お前巣作ってんじゃないだろうな」



「誰がんなもん作るかよ!俺を何だと思ってんだ、てめーは」



「ちょっと頭がおかしいやつ」



「それ、お前に言われたくねぇな」



「いや、俺はどっからどう見ても普通だろ」



………確かに。