黙って俺のモノになれ【上】



「…………………」



それに比べ、無言でスタスタと歩き出す朝霧くん。


やっぱり少しおこがましかったかな…。


1人で行ったほうがいいよね…。



「え、えっと…1人で行くので門までで大丈夫です…」



「何言ってんだ、お前は。バイトならそうと早く言え。道案内しろ、仕方ねぇから送ってやる。道間違えんじゃねぇぞ」



……バイト先まで送ってくれるの…?


朝霧くんがわざわざ……?



「で、でも…ここから少し距離ありますよ…?本当にいいんですか…?」



「いいって言ってんだろ、しつけーな」



「……はい」



慧くんの言葉を疑ってたわけじゃないけど…


本当にいい人なのかもしれません…。



「あ、あの…ありがとうございます…!」



「一生俺に感謝するんだな」



少し伝わりにくいですけどね…。











☆*☆*☆*☆*☆











「…ここです」



朝霧くんと歩くこと数十分。


喫茶SKYに無事たどり着けたあたしたち。



「お前喫茶店で働いてんのか。ま、気が向いたらきてやるよ」



「はい…。本当にありがとうございました…。気をつけて帰って下さい…」



「んなの、お前に言われなくても大丈夫だっつーの。じゃーなバカ女」



そう言いながらあたしに背を向け帰っていく朝霧くん。


その背中を眺めながら、あたしは朝霧くんとの帰り道をぼけーっと思い出していた。