『にしても楓、絶対にツンデレだよな』
どこから来たんだ、その話は。
『なんで』
『だって、あの転校生に見せてた笑顔、絶対俺らの前じゃ見せない顔でしょ。すっごい頬緩んでたから』
……………そんな顔してたのか、俺は。
『気のせいだろ…』
『いや、あれは気のせいじゃない。俺はこの目でしっかり見たからな』
『………………』
『おい、そーゆーいいところで黙るのやめろよな』
『悪い悪い。わざとだ』
『知ってるよ』
まぁでも確かに……
柊と話すのは予想以上に楽しかったな。
───────………
「おーい、楓さーん」
「…あ、悪い」
ついぼーっとしてしまった。
「で、今日の心音ちゃんは?何も変わりなかった?」
「あぁ。特に何もなかった」
………歩結って柊の事“柊さん”って呼んでなかったか?
どうでもいいけど、少し違和感あるな。
どうやらそう感じたのは俺だけではなかったらしく……
「歩結さん。“心音ちゃん”って呼んでましたっけ?」
「いや、“柊さん”だったっすよね」
「歩結もおれたちの仲間入り~?」
案の定、優空、奏夢、翔斗に責められている。
「あー…いや。心音ちゃん本人の前では呼ぶつもりはないんだけど…。“心音ちゃん”の方が距離近く感じるし、いいかなーって…」
「ふぅん」
「ま、俺はどうでもいいっすけど」
「心音ちゃん今何してるんだろうね~。ね、楓?」
なんで俺に振ってくるんだ。
「知らない。ゴロゴロでもしてんじゃないのか」
「ふ~ん。そっか~」
そもそも俺に聞いてどうするつもりだったんだ…。