「玲弥くん、慧くん。ばいばい…!」
「うん。また明日ね」
「じゃーね」
ちゃんと声かけて帰らないとね。
「西宮先輩。お待たせしました…」
「あぁ」
学校を出て、寮までの道を歩いて…
「………………」
「………………」
そんな帰り道もやっぱり無言。
だけど…朝とは全然違う。
だって、この沈黙が全然苦じゃないから…。
今更だけど思ったこと…
最初から無理に話そうとしなくてもよかったんじゃないのでしょうか…。
……こんな風に思えるようになっただけでも進歩だって思っていいのかな…。
まだ知り合って間もないし…。
これから知っていけばいいよね。
先輩の事も、朝霧くんたちの事も………。
そうすればいつかは…玲弥くんたちの様に仲良くなることが出来るかもしれない。
彼らは、少し玲弥くんたちとはタイプが違うけど…
ここにいる以上は楽しく過ごしたい、そう思えるようになったから…。
「じゃ、えっと…。ありがとうございました」
部屋に着き、きっと返事はないだろうと思って、一方的に頭を下げ扉を締めようとすると
───ガシッ
西宮先輩が扉に手をかけた。
「………先輩?どうかしましたか…?」