パドックで会いましょう

その日、結局おじさんは来なかった。

ただ暑いから部屋でのんびりしてるだけならいいんだけど、やっぱりまだ具合が悪いのかと気になってしまう。

「おっちゃん、今日は来んかったな。」

「そうですね…。」

おじさんの具合が良くない事を、ねえさんに話した方がいいだろうか?

「まあ、おっちゃんかって、たまには競馬より大事な用もあるやろ。」

だといいんだけど…。

「アンチャン、今日は勝ったなぁ。」

珍しく何度も予想が的中して、今日はかなり儲かった。

別に儲けるために来ているわけじゃないから、ここはねえさんに還元しよう。

「珍しく当たりました。晩御飯でも食べに行きますか?ご馳走しますよ。」

「ホンマに?何食べさしてもらおかな。」

ねえさんは楽しそうに笑う。

「お寿司でも食べますか?」

「お寿司より肉がええな。焼肉食べたい!」

「よし、じゃあ焼肉行きましょう!」


競馬場を出て、僕とねえさんは駅のそばの焼肉屋に足を運んだ。

その店は半個室になっていて、なんとなく二人きりになったようで緊張する。

「焼肉なんか久しぶりや。」

「僕もです。好きなもの頼んで下さいね。」

「太っ腹やなあ。」


何種類かの肉と野菜の盛り合わせ、それから生ビールを注文した。

ジョッキのビールで乾杯して、運ばれてきた肉や野菜を網の上に乗せた。

肉の焼ける匂いが食欲をそそる。