あなたの背中に恋してる~奥手な男子の攻略法~



志賀くんは、男の子に詰めよって、

「お前…また、こんなことしたら、警察につき出すぞ」と喉元を締め上げて凄んだ。

男の子は、余程怖かったのか、彼の手が離れた途端に飛び出すように逃げて言った。

「大丈夫か?」

「うん…」

志賀くんは、帰り際に冷ややかに私を見て、
「非常ボタンぐらい押せば」って言って去って行った。

あまりにも怖かったから、お礼を言うの忘れてた。

志賀くんに、助けてもらったのに、お礼も言わず礼儀を知らないやつ、あるいは新人にまで誘惑するやつって思ってるかも知れない。


志賀くんの私に対する印象は、そういうひどいのばっかりだ。
それ以来、顔を合わせても、大丈夫?って気遣ってくれるどころか、前より増して、私に関わろうとしないし。

話しかけると、私のこと露骨に避けようとするし。多分、嫌われてるか、軽蔑されてるかどっちかだな。

まあ、どう思われててもいいけど。



開発部門って、少し離れたフロアにあって、日頃から志賀くんとは、接点がない。
あんなことがあったし、志賀くんてどんな人なんだろうって思ってた。

しかも、彼は、極端に人見知りなのか、気難し屋なのか、同じ同期で飲みに来たって、ほとんどしゃべらない。


誰かに意見を聞かれたりして、口を開いたと思ったら、今みたいに毒舌が待ってる。


だから、近寄りたくない。絵梨に言われなかったら、人混みに紛れて、一人で帰ろうと思った。