☆☆☆

それからあたしと歩の2人は救急車に乗り、街で一番大きな総合病院へと運ばれていた。


院内は薬品臭くて、あたしはしかめっ面をした。


そんなに苦手な臭いではないけれど、今日はやけに鼻についた。


「あれ? 俺消毒の臭いとか苦手なんだけど、今日は気にならないなぁ」


ぽつりと歩が呟いた。


「え、そうなの?」


「あぁ」


もしかしてそれって、あたしと歩の心が入れ替わってしまったからだろうか?


そんな事を考える。


まぁ、ここで精密検査をしてもらえばきっと治る方法も見つかるよね。


あたしはそう思っていたのだった。