イレカワリ

「え……?」


あたしは歩を見つめる。


歩は真っ直ぐにあたしを見つめ返した。


嘘をついているようには見えない。


「本当に……?」


「本当だよ。入れ替わったのがマホでよかったって思ってる」


その言葉に胸の奥がジワリと熱くなるのを感じていた。


「あたしたちが付き合い始めると、リナが何をしてくるかわからないよ?」


「さっきも言っただろ? あいつに何をされても俺は平気だ」


歩はそう言い、あたしの手を握りしめて来た。


その手は緊張のせいで少し汗ばんでいる。


「じゃぁ……演技っていうのを無くしてくれれば、歩と付き合ってもいいよ」


あたしは歩から視線をそらして、おずおずとそう言った。


今まで歩の事を好きだと感じたことはない。


入れ替わってから意識し始めたのだ。


それでも、この気持ちは嘘ではないと、あたしは自分を信じて言った。


「もちろん、大歓迎だよ」


歩はそう言い、ニッコリとほほ笑んだのだった。