歩は海に駆け寄り、声をかけた。


しかし海はすでに返事もできない状態だった。


もう助からない。


そう判断した歩は咄嗟に自分と海の心を入れ替えてしまったんだ。


結果的に海の体と歩の心が死んでしまい、歩の体と海の心が残ったんだ。


そして海は歩としてずっと生きて来た。


邪魔な歩を殺したことで海の行動は更にエスカレートしていき、高校へ上がるとすぐに女子生徒と入れ替わり売春をするようになった。


しばらくすると事情をすべてを知っていた俺に金を渡してくるようになった。


汚い金なんていらないと何度突き返しても、海は俺に金を渡し続けて来たんだ。


いつの間にか俺もそれが当然になってしまっていたけれど、マホがターゲットになった事でようやく目が覚めた。


海、やっぱりお前は間違っている。


「マホ……」


俺は最後にそう呟き、目を閉じたのだった……。