イレカワリ

「知ってた?」


あたしは純の言葉に首を傾げた。


知ってたって、何のことだろう?


「歩が入れ替わりができる能力を持っていたって、知っていたんだ」


そう言う純に、あたしは頭の中は真っ白になった。


入れ替わりができる能力……?


そんなもの、初めてきいた。


「え……待って? 能力って……?」


混乱しながらそう聞く。


「あぁ、ごめん。俺がもう少し早く気が付いていればよかったんだけど……」


純は顔をしかめて頭をかいた。


話が全く見えてこない。


能力ってなに?


どういう事?


「あいつは、生まれつき他人と入れ替わる事ができていたんだ」


ゆっくりと、あたしをなだめるようにそう言う純。


「生まれつき……?」


そう聞きながら、口の中が乾いていくのを感じる。


「そう。好きな時に好きな相手と入れ替われるんだよ」