“吹奏楽部 同窓会”



もう一度、案内を確認して、俺は独りため息を吐く。

いや、これは深呼吸と言った方が正しいんだろうか。


いま、俺の目の前にあるのは、これから行われる高校時代の吹奏楽部の同窓会会場で。

地元の居酒屋。

何年かぶりにわざわざこの同窓会のためにいったんここに帰って来たのは、「もしかして…」という思いがまだ、俺の中にあるから。


今日の同窓会は、俺が一年の頃の同窓会。

当時、吹奏楽部でサクソフォンという楽器を任されていた俺は、同じ楽器を吹いていた二年生の麻妃先輩が好きだった。


……だけど今日は、ここに来ているんだろうか。

もしも来ていれば、だいたい7年ぶりの再会になる。


俺は居酒屋の入口でもう一度深呼吸をすると、そのドアを開けた。