天狗side


バサッ!


〈宜しかったのですか?〉


〈見てたのか。〉


肩に止まるカー吉を睨む。


〈ユズリハ様の様子を〈随時報告しろ〉と
命じたのは貴方様です。〉


〈…そうだったな。〉


なきむしちゃんが帰った方向を見つめる。


〈風よ…神水を導き、あらゆる者を癒せ。〉


ザァッ!


神水が風によって霧になり、麓に降りて行く。


〈妖にとっては毒の霧ですね。〉


〈だから、死なねーように霧にしたんだ。
まぁ、当分は近付けねぇ〜かな?〉


悪いな、低級達。


〈これから、どうなさるおつもりですか。〉


〈…もう時間が無い。〉


歯車が軋む音が聞こえる。

どんなに抗おうと、時の行末は変えられない。


〈それでも。〉


オレはオマエを守ってみせる。


天狗sideEND