〈…そっか、オレを忘れちゃったか。〉 『何を言ってるの?』 〈…いや〜? あまりにも泣き声が聞こえるもんだから からかいに来たんだヨ♪ なっきむしちゃん♪♪〉 これは、私も覚えてる。 初めて天狗と会った時の記憶…。 『私の名前は譲葉よ!』 〈…え?〉 『だから、譲葉!』 私が名前を言うと天狗は嬉しそうに笑って、 また〈なっきむしちゃん♪〉と言った。