理貴は、伊都が自分に対して、遠慮なく接してくれるのでそれが嬉しかった。


彼の周りには、多くの人がいるけれども、利害関係でがんじがらめになっていて、彼自身が選んだ会社のメンバー以外は、素直な感想一つ言ってくれる者もいない。


だから、こういう反応を伊都がしてくれると、理貴はもっと伊都のことを構いたくなる。

伊都は、ゲームに勝ったみたいに喜んでいる。



理貴は半分、威嚇するように顔を近づけた。


本気になれば、こんな小さな女の子の一人くらい、どうにでも出来るのだ。

一生自分のものにして、そばに置いておくことさえも。



「内藤家の御曹司に、こんな真似をして、許されると思ってるのか?」


相変わらず、どんなに虚勢を張っても、伊都は屈託の無い笑いで返してくる。




理貴のことを、同じ会社で働く同年代の男としてしか見ていない。