「たまには、理貴さんも来ないんですか?」さっきの女の人が照れながら言う。


「さあ、忙しいから。取引先に寄っても、
社長のとこに直接いくだけで、理貴は、こういうところで時間潰したりしないから」

ケンサクは、少し意地悪な言い方をしてしまったと反省したが、相手は、気にしていない様子だった。

「ねえ、譲君?理貴さんの会社で雇ってもらえないですか?」

「雇うの高校生だけですよ」
理貴が大人を雇うと面倒だって言ったの良くわかる。


「理貴さんって、本当の大金持ちの御曹司って感じですよね」


「大金持ちの御曹司なら、僕だってそうですよ」

「そっか。でも譲君、中学生だっけ」

「違います。高校生です。理貴とは1つしか違わないのに」

「あれ?だって理貴さんアメリカの大学卒業してるんでしょう?」

「卒業してるけど、17歳だよ。でも理貴は、年寄りくさいから、お姉さんくらい年上の人のほうが合ってるかも」