ケーキの箱を抱え店を出た。
仕込みをする必要がなくなったため、昨日よりも帰る時間は早かった。

なのに、足はなかなか進まない。


やっと表通りまで来た。


夕闇にやたらと明るい街灯の下のベンチに座る。



花びらが降ってきていた。
白か薄いピンクみたい。桜かもしれない。

だけど見上げる気にはなれなかった。




抱えた最後のケーキ。

明日からしばらく『N』には行けないことになった。


ケーキ人気を終息させるため、『担当者が病気の為ケーキ無期お休み』とすることになったからだった。


『配属変更』。ショックだった。。