「あれ?四ツ谷君、お昼行かなかったの?」
先輩事務局員たちが昼から帰ってきた。

「ええ、処理が途中なのがあって、それだけ終わらせようと残ってました。」
「四ツ谷君、まじめだから助かるわ~。それ終わったらお昼行っておいで?食べないのきついわよ。」
「課長もわかってくれるわよ。」
「ありがとうございます。」


離れた部長の席にメモを置きに行く。
席には積まれた書類の間に携帯が埋もれるように置きっぱなしになっていた。

携帯がつながらなくて大学に電話を掛けてきた、ということだろう。
幸いなことだった。

部長が戻り、メモを見るなり席を立って行った。
向かう先には避難階段が見えている。

四ツ谷も課長の許可を得て『昼食に』と席を立った。