ひんやりとした手が足首に触れ、その冷たさにびくりとする。
「随分厳重だな。」
「包帯は明日の朝には取れるよ。塗り薬たっぷり塗ったのを絆創膏代わりに固定してるだけだから。絆創膏が切れてたんだよねー。」
「そうか。わかった。」
「僕が補充しておくよ。」郷太くんがひょいと手をあげた。

「一花、、温かいゆず茶、よかったら。
あたし、こっち側から飲んでたから、反対からなら、、」
「一花も飲む?淹れてくるよ?」
ぽん、と郷太くんがあたしの頭に手を置いて立ち上がった。ウィンクされる。

よかった。。郷太くんはほんと周りに気が利く子なんだな。。
やたらとボディタッチが多いけど。。
席を立っていく背中にほっと息をついた。


「あの、寒かったでしょ?
、、あたしを連れてきてくれたせいで、もう一度荷物を取りに行くことになってしまって、ごめんなさい。」
あたしから離れかけていた一花さんに声を掛けた。
「こんな寒い中、大変だったでしょ・・?
ごめんなさい。」

一花さんは首を振った。長い前髪がさらりと顔にかかる。
「大したことはない。それより、痛むか?」
一花さんは取ってきた荷物を掴むと、それをあたしの足元に置いた。大きな真っ黒な袋。

「少しだけ。薬のおかげでだいぶ楽みたい。」
一花さんは頷いて、あたしの足元に片膝をつく。
ソファに座ればいいのに?

「明日からだが・・
とりあえず、明日はこの町を見せよう。
山を登るのはその足じゃ無理かもしれないが、町の散策程度なら大丈夫だろう。
それから、ここでの寝泊まりに必要なものは一式入っていると頭首から預かった物だ。後で見てみろ。」
ぽん、と荷物に手を載せ、あたしのほうへ押しやる。