「…ねぇ。」
「ん?」
「…キスは、初めてだよ。」
目を逸らしながら顔を赤くして言うと、
漂う沈黙。
「…松原とは?」
「してない。
付き合ってすぐにずっと麻美と悠介はそういう関係だったし。」
それに、
汚された時も、唇だけは必死に守っていた。
普通は、初めてを守るんだろうけど
目を覚ました時には遅かった
私の上にまたがる男を見て凄く絶望をしたんだ。
そして、唇だけはやめて。
と懇願していた。
それには流石にオーケーをしてくれて、
私は泣きながらその行為が終わるのを待っていた。
なのに、
「簡単に唇奪われた〜。」
とふざけて言う私に
バツが悪そうな顔をした大輝は、
「そういうのは、早く言えよ。」
と言ってきた。
「んー、でももう遅い!」
と笑う私に、
「そーだな。」
と笑い返してくれた大輝。


