「日菜子ちゃんは、最低なんかじゃない。」


「最低だよ。
1人になりたくないから2人の優しさに甘えてた。」

「1人になるのが怖くて2人を利用してた。

想いあってるのを知ってたのに、

2人の仲を邪魔してたのは私なの。

1人になるのが嫌で

1人になるのが怖くて、

誰かに愛してもらいたくて、

愛してもらってるって思いたくて、

麻美と悠介を利用してたの。」

顔を手で覆っているのに、涙が首筋を伝った。

なんで、家族にも悠介にも麻美にも言えなかった私の本音。

なんで、こんな奴に言えるの?

なんで、

「…素直に言えるじゃん。

日菜子ちゃんは最低じゃない。

そう思うのはみんな一緒なんだよ。

大丈夫だよ。
俺が絶対に日菜子ちゃんを1人にしないから。

俺が日菜子ちゃんを愛し続けるから。

絶対に、日菜子ちゃんを独りになんかさせないから。」

金澤の言葉が私の心を震わす。

こんなこと初めて言われた。

でも、

「…ごめん。

まだ、悠介のこと忘れられない。」

ごめんなさい。

ごめんなさい。

ボロボロ止まらない涙。

「…ごめんなさい。」

「謝らなくていいよ。
大丈夫。

焦らなくても俺はずっと日菜子ちゃんのそばにいるから。」

顔を上げると、優しく笑った金澤と目があった。

金澤は、私の涙を優しく拭うとそっと私のおでこにキスを落とした。