「ここからが日菜子ちゃんに聞いてほしい話なんだ。
俺と嫁は、高校の時すごく遠回りをしたんだ。
いろいろあって、遠回りして、
何度も泣いたし、何度も怒った。
別れも告げた。
だけど、結局好きで、
気付いたらいつも嫁を守ってたんだ。
…だけどな。
ちょうど今頃。
俺と嫁は階段から落ちて、
俺は1ヶ月以上眠っていて、目を覚ました時、
記憶を失ってたんだ。」
遠い目をしながら話す先生。
「…嫁はその間俺のところに毎日病院に来てくれていて、リハビリにも付き合ってくれてた。」
気づけばその話に耳を傾けていた私。
「記憶を失ってからも、
その俺を愛してくれた。
嫁の口癖はな、
『辛いことがあった後には必ず幸せが待ってるんだよ!』
なんだよ。
だから、日菜子ちゃんにも絶対幸せは訪れるから…。
それにな、言っちゃだめだけど、あれだ。
医者の言う何パーセントとかは、ただの勘にしか過ぎないから。
奇跡を信じよう。」


