大翔くんの言葉から気づけばもう、季節が変わって秋になっていた。
日菜子は未だに目を覚まさなくて、
日菜子からもらったマフラーをしながら
この日もいつも通り大通りの国道沿いを病院へと向かって歩いていた。
花屋に寄って、
今日は1年3ヶ月記念日だ。
15本の花、
何にしようか。
そう悩んでいると、
店員さんらしい人が寄ってきて、
「何かお探しですか?」
とニコリと愛想がいい笑顔を浮かべたお店の人…
気づけば俺は、
「今日、世界で一番大切な人と15ヶ月記念日、1年3ヶ月なんです。
だけど、その人今眠ってて1ヶ月目を覚まさないんです。
いつか、その人の声が忘れてしまいそうで怖いんです。」
気づけば弱音を吐いていた俺に、
ニコリと笑った店員さんは、
「【変わらぬ心。】【途絶えぬ記憶】」
ぽつりと呟いた店員さんの声。
「…え?」
「スターチスの花言葉なんですよ。」
ニコリと笑った店員さんは、
綺麗な紫色の花を見せてくれた。
「どうですか?」
そういった店員さんに、気づけば俺は、
「15本、それをください。」
と言っていた。
その店員さんはニコリと笑うと綺麗に花束にしてくれた。