願いも虚しく女のあたしじゃ到底敵わない力。


簡単に組み敷かれて、恐怖心で体が固まる。


揺れる視界に映るのは、歪んだ表情の憧れだった人……。


制服のボタンに手を掛けられた瞬間、勢い良く体育館倉庫のドアが開いた。


誰⁉︎



「何してんだよ…。コイツに何してんだよ‼︎聞いてんのか‼︎」


翔太先輩の入れ首を掴み、今まで見た事のない表情を見せるのは…晃椰君。


助けに来てくれた……。


「邪魔すんじゃねぇよ。年下のクセに」

「年下?そんなの知らねぇ。俺は、コイツを助けに来た。それだけだ」

「彼氏面すんなよ。俺の彼女なのに」

「よく言えたな。ただ、束縛したいだけだろ?ねっ、翔太先輩」


悔しそうに唇を噛む翔太先輩が印象に残る。


あたしは、晃椰君に連れられて体育館倉庫を抜け出した。


そして着いたのは旧校舎。


「はぁ〜…超びびった…。やべぇ…」

「晃椰君…。どうしてあたしの居場所分かったの?」

「体育館とこで話してるお前ら偶然見付けて。後付けたら案の定…って感じ」

「そう、なんだ…」


もし晃椰君がいなかったら…なんて考えたくない。