だけど、素直に「バカだ」なんてこと言えねーし。
まず、よそのカップルに口出しする気もない。
「今日遅いんだよねっ。いつもは早く来てくれるんだけどな…」
「知らね。好きで付き合ってんだろ?じゃあ、待てよ」
「…うん。好き、なのかな…」
「なんだそれ…」
振り向いた瞬間、アイツは今にも泣きそうで。
俺の制服の裾をぎゅっと掴む。
「…なんかあったの?」
「えっと…」
「翔太先輩に嫌な事でもされたのか?」
「ごめん‼︎やっぱり、なんでもないや‼︎帰って良いよ…」
変なヤツ……。
作り笑いを浮かべて、そっと制服の裾から指が離れた。
明らかに様子が変だろ…。
そんな時、廊下の奥から声が響く。
「叶芽‼︎ごめんな〜‼︎待った?」
「翔太先輩‼︎全然、待ってないです。大丈夫‼︎」
「そっか。じゃあ…帰ろうか」
嘘つき。
相当待ってたクセによ…。
俺、お前が分かんねぇ。

