性悪男子の甘い毒




それから数日後。


バッチリ体調が回復したあたしは、教室に足を踏み入れた。


「叶芽ちゃん‼︎おはよ‼︎」

「ふふっ、おはよ〜」

「あっ、お、おはよ‼︎もう体調大丈夫⁉︎」

「うん‼︎大丈夫だよ‼︎ありがと〜、西田君‼︎」

「なっ、名前呼んでくれた…」


単純過ぎ。


心の中で、べーっと舌を出した。



席に着くと、隣の席の松宮未央(マツミヤ ミオ)が話し掛けてくれる。


黒髪ショートの美人さん。


幼なじみ兼親友で、あたしの本性だって分かってる。


「男子達、すっごい騒いでたよ〜。俺達の叶芽ちゃんが〜‼︎って」

「あはっ‼︎バカみたい‼︎」

「うっわ〜…悪女。磨き掛かったね」

「悪女じゃない‼︎八方美人と呼んで‼︎」


未央は「はいはい」と呆れた声。


もう……未央だって、冷静過ぎる性格直せば絶対モテるのに‼︎


「あれ?叶芽、その紙袋何?」

「これ?助けてくれた高槻君へのお礼‼︎」


未央は眉間にシワを寄せて不服な顔。


性悪なんて噂回ってるせいか……。