その日1日はすげー気分が良かった。


膝怪我してる事を忘れて、体育で全力で走るぐらい。


悔しいけど、俺って単純……。


「うわぁ‼︎晃椰‼︎お前…膝‼︎」

「えっ…。なんで⁉︎」

「傷口開いてんじゃんか‼︎早く保健室行けよ‼︎バカ‼︎」


そして、また保健のおばちゃんにお世話になった始末。


やっぱ、俺ってカッコ悪くね⁉︎



そんな浮かれてる日々も束の間。


休み時間、新太含むクラスのヤツらと階段で溜まってると叶芽と未央ちゃんが通った。


「あー‼︎未央ちゃん‼︎どこ行くの〜‼︎」

「新太君‼︎次、化学の実験で移動教室なんだよ〜」


普通に会話する2人の横で俺らは……。


「階段に溜まられたら、邪魔なんですけど…‼︎」

「聞こえねぇな〜‼︎もっとデカイ声で言えよ〜」

「無理っ…‼︎だって、他の男の子いるもん…」

「俺にはお前の本性見せてくれんだ?嬉しいー」

「そのポジティブ精神、顔ごと殴ってやろうか…‼︎」


正直、ちょっと得した気分だけどな。


俺しか知らない叶芽の顔。


悪くない。