性悪男子の甘い毒




誰もいない無機質なマンションに帰っても、アイツのことで頭いっぱい。


今回は俺が……悪かった、かな…。


頭を冷やして反省した夜だった。




次の日、早朝の学校の下駄箱。


こんな時に限って、ばったり鉢合わせた俺と叶芽。


バチッと一瞬目が合い、すぐに離れた。


「…無視かよ」

「別に〜。ってゆうか、そこあたしの靴箱だからどいて」

「ちょっと待て‼︎もう教室行く?」

「いや…うん。学校来てるんだから、当たり前でしょ…」

「…話し、あるから。着いて来て」


不思議そうに首を傾げた、叶芽と来たのは旧校舎。


俺らが初めて出会った場所。


「晃椰君。話って何?」

「昨日の体育祭……俺らのクラス準優勝だった」

「知ってるよ…それくらい。あたしもう、行くね?」


今を逃したら機会無い…。


アイツの細い腕を掴んで、気持ちが先走り過ぎた。


気付けば、俺の腕の中。


…抱きしめてた。