性悪男子の甘い毒




彼の整った顔に見詰められると胸が高鳴る。


掴んだ手首をさっと離した。


「名前…聞いてないから…」

「名前?高槻晃椰。E組の」

「ありがとう‼︎あたしは…」

「知ってる。特進クラスの藤咲叶芽ちゃん。有名だもん」


ニヤッと怪しい笑みを残し、背中を向けて行ってしまった…。


有名?


あたしが?


いやいや、高槻君の方が断然有名だって。


「優しい男の子ね〜。ほら、藤咲さんはベッドに寝て。担任の先生に伝えておくわね」

「はい。ありがとうございます…」



真っ白の布団に寝っ転がる。


〝性悪〟なんて言われてるけど、普通に優しかったな…。


みんなの勘違いじゃない?


それにしても………


カッコ良かったなぁ〜…。


さりげなく助けてくれた行動にもドキドキしたし、香水の匂いにもドキドキした。


多くの男子を差し置いて、学園No.1のイケメンって言われてるだけあるよ…。