性悪男子の甘い毒




2人で歩く駅までの歩道。


何気無く車道側歩いてくれてる…。


こうゆう時に限って何話して良いか分かんないや……。



「体育祭のバスケ、さ」

「うん」

「俺が教えてやったんだから、1本ぐらいシュート決めろよ?」

「決めるよ‼︎元バスケ部直伝だよ〜。本当に、ありがとね?」

「ほんとだよ。今度こそ、なんか奢ってもらうしかねーなー」


ニヤッと笑って、あたしの顔を覗き込んだ。


改めて見ても、本当に端正な顔立ちで隣に並ぶの躊躇しちゃう…。


しかも、ちゃっかり駅まで送ってくれた……。


「じゃあ…。お前ブスだけど気を付けて帰れよ」

「ブスは余計だってば‼︎性悪め‼︎」

「バスケ教えてやった上に、送ってやったんですけど〜」

「それは…っ、あ、ありがとう…」

「どーいたしまして。また明日な」


ふわっと浮いた晃椰君の右手が、あたしの頭をそっと撫でた。


こんなの初めてだ……。


笑顔、めっちゃ優しかったし…。


つい頬が熱くなる。



晃椰君の気持ちがよく分かんない…。