【叶芽side】



家にいても学校にいても、何をしてても身が入らない。


隣の席の大好きだった人は、朝からずっと机に突っ伏したまま。


教室の窓から吹く夏風に、晃椰の茶髪がサラっと流れる度に胸が痛くなる…。



塾の帰り際、菊池先生に呼び出され強引に重ねられた唇。


1番見られたくない人に見られちゃった……。


もう、目すら合わせてくれないの。


あたしのこと大嫌いなんだ、って嫌でも分かる程。



昼休みになると、未央がお弁当を持ってあたしの席に来てくれた。


「叶芽〜。今日は天気良いし、屋上でお昼しない?」

「あっ、うん‼︎そうしよっか‼︎」

「決まり‼︎行こっ」


全て事情を知ってる未央は、すごく気遣ってくれる。


休み時間は、晃椰の側にいない様に………。


だから最近は天気が良ければ、いつもお昼は屋上にいる。


「未央…。なんか、ごめんね…」

「気にしなくて良いのに‼︎あっ、コンビニで新発売のチョコ見付けたの‼︎食べよっ」

「ありがとう…。未央、ありがと…っ」

「叶芽、大丈夫だから。泣かなくて良いよ」


未央の優しさに涙が止まらない。