顔を合わせる度に口喧嘩。
それは俺らにとって、もう当たり前のやり取り。
なのに、帰り道で新太は腹を抱えて笑った。
「晃椰と叶芽ちゃん見てたら、正直すげー笑える‼︎」
「は⁉︎笑える要素どこにもねーけど…」
「だってさぁ〜、お前ら小学生みたい‼︎」
「しょ、小学生ですか……」
俺、一応高校生なんですけどね…。
軽くショックを受けてる間にも、新太は面白そうに話す。
「特に晃椰‼︎ほら、小学生って好きな女の子イジメんじゃん?」
「勘違いすんなよー…。俺、アイツのこと好きじゃない」
「ふーん…。そっか……」
「その顔なんだよ⁉︎」
「実際、叶芽ちゃんといるの嫌いじゃなくね?楽しそうだよ。晃椰」
背中に冷や汗が伝うほど心臓が跳ねた。
アイツのことなんて好きじゃねぇ…。
新太の勘違いに決まってる。
「もっと素直になれよ〜♪」
「絶対にヤダ」
俺の理想と程遠いし。
良い口喧嘩の相手なだけだ。
アイツのことなんか好きになるかよ……。