性悪男子の甘い毒




会社に入ると、受付嬢が取締役室に案内してくれた。


緊張して手震えるとか情けねぇー……。


数回ノックをすると「はい?」と母親の声がした。


「…母さん。俺」

「えっ⁉︎晃椰⁉︎なんで会社にるのよ⁉︎それに、今までどこ行ってたの‼︎」


パンツスーツを着こなして完全に仕事モード。


だけど、会社とか関係ナシに俺の肩を掴み揺らす。


「中学ん時の先輩の家にいた」

「バカ‼︎電話にも出ないし、メールも返さないし…。心配してたのよ‼︎」

「心配、してくれてたんだ?」

「当たり前じゃない‼︎晃椰は、たった1人の子供なんだから…」


ぐしゃぐしゃっと雑に撫でられた頭。


多分、幼稚園の時以来……。


「で?何か用事があって来たんでしょう?」

「あぁ…。俺、アメリカ行かねぇ。1人でこっちに残る」

「やっぱりね〜。晃椰ならそういうと思った。母さん寂しい」

「わりぃ…」

「冗談よ。ちゃんと話しに来てくれて、ありがとうね」


久し振りにまともに話した。


そして、初めて親に話した俺の思い。


慣れない事すると、くすぐったい…。