自然と促されるまま、伶士さん家に転がり込んだ。
一軒家の2階にある伶士さんの部屋は、トイレとシャワー付き。
確か、伶士さんの父親って自営業だもんな…。
「晃椰が家出かー。初めてじゃね?」
「初めてっス」
「お前、あんまり母さんに迷惑掛けんなよ〜。女手一つで育てて貰ってんだし」
「分かってますけど…。あの人は、俺の気持ちなんて知らねぇ」
俺の隣に座った伶士さんは、困った様に笑った。
そして、懐かしむ様に話した。
「実は俺も、家出した事あんの‼︎高校2年の時だっけな?」
「やっぱ、親とケンカとかですか?」
「ちげーよ。その時付き合ってた彼女好き過ぎて‼︎彼女の家行っちゃった♪」
「なんスか〜。その理由‼︎」
伶士さんらしい理由だよな。
呆れる俺に、伶士さんは急に真面目な顔をした。
「でもさ、後から思い知ったよ。親の有り難みってヤツ。だから、お前も気持ち整理したら家帰れよな」
有り難み、か……。
考えさせられた夜になった。