小さい頃から散々、俺を1人にして母親らしい事はしてくれなかった。
なのに、急にアメリカに連れてくとか…。
「決定事項だから。来月、学校の方にも話すし…」
「勝手に振り回すなよ‼︎」
「振り回してないわ‼︎晃椰に利点がある様に考えてるのよ‼︎」
「俺にとって、そんなの利点になんねぇよ‼︎」
「ちょっと晃椰‼︎待ちなさい‼︎」
玄関先で、掴まれた手を振りほどいた。
「もうほっとけよ…」
春と言っても、夜は少し冷える。
産まれて初めて言い合いして、夜中に家を飛び出した。
こんな時間に行く当てねぇよー……。
「晃椰ー?お前、こんな時間に何してんだよ〜。しかも、制服で」
「えっ…。あっ、伶士さん‼︎」
コンビニの袋を下げ、ニヤッと笑う。
冬に会った以来だ。
「家出か〜?この不良少年‼︎髪なんか染めてるからだろ〜‼︎」
「うるさいです…。伶士さんは?」
「俺は合コン帰り。ビビッと来る女の子いなくて、早く帰って来たの」
「そうですか」
相変わらず、女の子大好き人間。
でも、良い人なんだよな〜…。