性悪男子の甘い毒




俺より良いヤツなんて、世の中いっぱいいるはずだ。


美希はきっと、俺の何十倍、何百倍に良いヤツと出会えるはず。


「うぅ〜っ、泣いてごめんなさいーっ‼︎」

「ははっ‼︎顔ぐしゃぐしゃになんぞ〜。ほら、ティッシュやるよ」

「ありがとうございまず、っ‼︎」

「はいはい。泣き止んだら帰ろうな」

「えっ…。それって……」

「家まで送ってくから。どうせ近所だし、良いだろ」


俺の言葉に、また大泣き。


今度は、嬉し涙って言ってたけど。



外に出ると少し小降りになった雨。


隣を歩く美希は、なんとか笑顔に戻った。


「嬉しいけど、叶芽さんに申し訳ないです…」

「俺、美希の目付役だから。叶芽もそれは承知済み」

「叶芽さん優しいですよね。私、晃椰さんが叶芽さんにベタ惚れな理由分かります‼︎」

「ベタ惚れ⁉︎ちげーよ。アイツが俺にベタ惚れなんだよ…」

「え?でも、お兄ちゃんが言ってましたよ」


勇希さん、余計な事を美希に吹き込むな…‼︎



2人で歩いてたら、いつの間にか空は晴れた。


美希に良いヤツ見付かると良いな。