長く感じる終業式が終わり、帰る準備を始める放課後。
明日から冬休みって事で、教室中やけにテンションが高い。
そんな中、心地良い好きな声が俺の耳に響く。
「晃椰〜‼︎帰ろ?」
「ん。ちょっと職員室寄って良い?」
「良いけど…。何かあったの?」
「現代文の課題の出し忘れ」
「ええっ⁉︎これ、だいぶ前の課題じゃん‼︎心配して損した〜……」
隣で溜め息を吐くコイツ。
なんだかんだ言って、俺よりしっかりした性格だもんなー……。
結婚なんてしたら、家の事全部任せちまいそうだ。
現代文の教科担任に少しの説教を受けて、叶芽と帰路に着く。
手繋いで隣でよく喋る叶芽は幸せそう。
「で、晃椰はどっちが良いと思う〜?」
「どっちでも良いんじゃね?」
「言うと思った‼︎たまには、ちゃんと答えてよね〜」
「…じゃあ、俺の質問にも答えてくんね?」
「へっ?晃椰の質問……」
さっき、新太に言われて急に意識し出した事。
叶芽に聞いてみたかったんだ。
「お前は、俺と結婚してくれる?」
肌寒い冬空の下。
数秒時が止まった気がした。