なんとか校門を抜けた所で、限界が近付いた。


立ってるのもツラい……。


階段登って保健室に行く余裕もないよ…。



校舎の右側に佇む、旧校舎にあたしは逃げ込んだ。


風通しが良くてかなり涼しい。


旧校舎の壁に寄り掛かり、しゃがみ込む。


頭もズキズキするしお腹も痛い…。



そんな時、旧校舎の階段から人の足音が聞こえた。


「えっ……誰…?」


こんな登校時間に入る人なんていない。


中央の階段をジッと見据えると、1人の男の子が降りて来た。


あの人……知ってる…。



薄く染められた茶髪に、くっきりとした二重の整った顔立ち。


背も高くてスタイル抜群。


学園No.1のイケメンと名高いE組の男の子。


なのに、女の子からモテない。


かなりの〝性悪〟って噂が流れてるから……。



しかし、バチッと目が合ってしまいました…。


怪訝そうにあたしの前にしゃがみ、顔を覗き込む。


「何してんの?大丈夫?」


低いけど、思ってた以上の優しい声。


この人が………性悪?